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米大統領選挙で株価はどう動く?日本への影響と最新情報を解説
米大統領選挙で株価はどう動く?日本への影響と最新情報を解説

米大統領選挙で株価はどう動く?日本への影響と最新情報を解説

2024/10/22に公開
提供元:大西勝士

2024年11月に行われる米大統領選挙は米国だけでなく、日本の株式市場にとっても重要なイベントです。候補者のハリス氏とトランプ氏では、主張する政策に大きな違いがあります。
そのため、どちらが大統領になるかで米国・日本の株価の動きや恩恵を受ける業界は変わってくるでしょう。

本コラムでは、米大統領選挙の最新状況とハリス氏・トランプ氏の政策の違い、日本株への影響などを解説します。


米大統領選挙の仕組みと最新状況

2024年の米大統領選挙は11月5日に行われます。全米の総得票数ではなく、州ごとに勝者を決める仕組みです。*1

各州には人口などに応じて「選挙人」が割り当てられており、州の勝者はその州の選挙人を獲得します。全米538人の選挙人のうち、過半数の270人以上を獲得した候補が次の大統領となります。


バイデン氏が撤退し、ハリス氏が後継候補者に

当初は、現職のバイデン大統領(民主党)と前大統領のトランプ氏(共和党)の争いでした。
しかし、2024年7月21日にバイデン氏が選挙戦からの撤退を表明し、後継候補者としてハリス副大統領が指名されました。*2

一時はトランプ氏が有利とみられていましたが、候補者がハリス氏に変わったことで、米大統領選挙の行方は不透明な状況にあります。


ハリス氏とトランプ氏の支持率・選挙人獲得状況

ハリス氏とトランプ氏の支持率の状況は以下の通りです。


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出典)RealClearPolitics「2024 National: Trump vs. Harris(2024年10月7日取得)」


当初はトランプ氏の支持率が上回っていましたが、バイデン氏の撤退表明から流れが変わり、ハリス氏がややリードしている状況です。

一方、選挙人獲得状況は以下のようになっています。


11

出典)RealClearPolitics「2024 RCP Electoral College Map(2024年10月7日取得)」


こちらはトランプ氏がやや優勢です。ただし、まだ方向性が定まっていない州もあります。ハリス氏とトランプ氏の争いは拮抗しているといえるでしょう。

なお、米大統領選挙の勝敗の鍵を握るのが、「スイングステート」と呼ばれる激戦州です。


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出典)三菱UFJアセットマネジメント「投資戦略マンスリー(2024年10月)P6」


スイングステートは勝利党が変動しやすく、米大統領選挙の勝敗を大きく左右するといわれています。上記7州には合計93人の選挙人が割り当てられており、今後の情勢が注目されます。*3


ハリス氏とトランプ氏の政策比較

ここでは、ハリス氏・トランプ氏が主張する経済政策とエネルギー政策を紹介します。


ハリス氏が主張する政策

ハリス氏の主な経済政策は以下の通りです。*4


  • 4年間で300万戸の新築住宅を建設する
  • 住宅購入者に頭金として2万5,000ドルを援助するバイデン政権の政策を拡大する
  • 法人税率を21%から28%に上げる
  • 2026年以降、高価な一般薬の価格を40~80%引き下げる
  • 製薬会社の価格設定慣行の透明性を高めて競争を促進する
  • 就任後最初の100日間で、食品生産者と食料品店の価格情報に対する連邦規則案を議会に提出する
  • 価格上昇の一因となる大手食品企業間の合併・買収を取り締まる

ハリス氏は「力強い中間層の存在が米国の成功に不可欠」と主張しています。年収40万ドル未満の人には増税しないとする一方、法人税率の引き上げや富裕層への増税などによって税収を増やせるとしています。*5

住宅政策や医療費政策についても具体的提案を発表しました。
食品価格に関する方針も表明し、最優先課題としてインフレ対策に取り組む姿勢を強調しています。

エネルギー政策については、「気候変動は最重要課題」との立場です。バイデン現政権の政策を引き継ぎ、電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの推進などに取り組むとみられます。*6


トランプ氏が主張する政策

トランプ氏の主な経済政策は以下の通りです。


  • 連邦所有地を住宅用に開放、初回住宅購入者への税優遇、関連規制の撤廃などにより手頃な住宅を実現する
  • 2017年のトランプ減税の延長または恒久化
  • 法人税率を21%から20%に下げる
  • チップ収入に対する連邦税の廃止、社会保障給付に対する課税の廃止
  • 石油、天然ガス、石炭を含むエネルギー生産を推進し、エネルギー価格を記録的な安価にする

トランプ減税とは、2017年12月にトランプ政権下で成立した大型減税です。法人税率を35%から21%に、個人所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げました。*7

トランプ氏は「さらなる減税を行い、驚異的な経済成長につなげていく」と主張しています。また、「経済成長が財政赤字を減らすことになる」とも述べています。

エネルギー政策については、バイデン政権下で復帰した「パリ協定」から再び離脱する方針です。
パリ協定とは、気候変動問題に関する国際的な枠組みで、参加国には温室効果ガス削減・抑制目標を定めることが求められます。*8


米大統領選挙の結果が日本株に与える影響は?

先述のとおり、ハリス氏とトランプ氏の政策には大きな違いがあります。どちらが大統領になるかによって、米国株式市場への影響や恩恵を受ける業界は変わってくるでしょう。

日本の株価は、米国の各種マーケットの影響を受ける傾向にあります。*9
そのため、日本の株式市場においても、ハリス氏とトランプ氏が言及していた業界の値動きが活発になるかもしれません。


ハリス氏の勝利で注目されるテーマ・業界

ハリス氏の勝利で注目が集まると考えられるテーマ・業界は以下の通りです。


  • 住宅
  • 製薬
  • 食品
  • 環境・脱炭素

新築住宅の建設などの政策を掲げているため、住宅業界にはプラス要因となるかもしれません。
一方で、薬の価格引き下げ、大手食品企業間の合併・買収の取り締まりなどの政策は、製薬業界や食品業界にとっては売上・利益の減少要因となる可能性があります。

また、ハリス氏(民主党)は気候変動を最重要課題としていることから、環境・脱炭素も注目テーマとなるでしょう。


トランプ氏の勝利で注目されるテーマ・業界

トランプ氏の勝利で注目が集まると考えられるテーマ・業界は以下の通りです。


  • 防衛・軍需
  • 石油・ガス

トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、同盟国である日本に対して安全保障面で新たな負担を求める可能性もあります。*10
そのため、防衛・軍需関連の値動きが大きくなるかもしれません。

また、石油、天然ガス、石炭を含むエネルギー生産を推進する考えであるため、石油・ガス業界が注目される可能性があるでしょう。

なお、トランプ氏は法人税の引き下げを主張していることから、米国市場全体にとってプラス要因となるかもしれません。その場合は、日本の株式市場にとってもプラスに働く可能性があるでしょう。


まとめ

米大統領選挙はバイデン大統領が選挙戦から撤退し、ハリス氏とトランプ氏の争いとなりました。両者の支持率は拮抗しており、先行きは不透明な状況です。

ハリス氏とトランプ氏では政策に大きな違いがあるため、どちらが勝利するかによって、米国の経済や株式市場への影響は変わってきます。

米大統領選挙の結果を受けて、日本の株価が大きく動く可能性もあります。株式投資に取り組むなら、ハリス氏・トランプ氏の政策の違いを理解して株価への影響を見極めましょう。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。

出典
*1 NHK「1分で分かる大統領選挙の仕組み」
*2 NHK「【詳報】バイデン氏大統領選 撤退表明 後任候補ハリス氏支持」
*3 三菱UFJアセットマネジメント「投資戦略マンスリー(2024年10月)」
*4 JETRO「ハリス氏かトランプ氏か、短期決戦で激戦州の攻防が続く米大統領選挙」
*5 NHK「アメリカ大統領選挙2024 経済・財政の政策比較」
*6 NHK「アメリカ大統領選挙2024 エネルギーの政策比較」
*7 日本経済新聞「トランプ減税」
*8 資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
*9 MoneyCanvas「2024年11月に控えるアメリカ大統領選挙 その仕組みと日本への影響は?」
*10 NHK「アメリカ大統領選挙2024 対日政策の政策比較」


大西 勝士
おおにし かつし

金融ライター(日本FP協会 AFP認定者)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事を執筆中。得意領域は投資信託、不動産、税務。

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