簡単にデータ移行が出来る「iPhoneのクイックスタート」ですが、「上手くいかない…」という声もよく聞かれます。クイックスタートができない場合の原因は複数あるのですが、簡単に確認できるところから順番に原因を探り、対処するのがおすすめです。
また、そもそもクイックスタートの手順が間違っていた!というケースもあります。
そこで本記事ではiPhoneのクイックスタートができない方に向けて、簡単な順番に解決方法を紹介します。
さらに、「設定は合っているのに上手くいかない…」という方のために、クイックスタートの正しい手順も紹介します。それでも上手くいかないという方には、記事の後半には代替手段を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
iPhoneのクイックスタートとは、古いiPhoneから移行先のiPhoneへ機種変更をした際に、データの移行ができる機能です。パソコンやケーブルなど他の機器は必要なく、古いiPhoneと移行先のiPhoneを用意するだけで移行ができるため、非常に便利です。
一方で、「なぜかクイックスタートが上手くいかない」という声も聞かれます。ここからは、クイックスタートが上手くいかない場合のよくある原因を紹介します。簡単に確認できる内容から紹介していきますので、ぜひ上からチェックしてみてください。
それでは早速iPhoneのクイックスタートができない原因を紹介していきます。
iOSのバージョンが古いとクイックスタートはできません。移行元のiPhone、移行先のiPhoneともにiOS12.4以降でなければデータ移行はできません。iOS11でもクイックスタート自体はできますが、iPhoneの初期設定のセットアップがスムーズになるだけで、データ移行はできないので注意しましょう。
そのため、iOSを最新の状態にするには以下の手順に沿ってインストールしてください。
iOSが最新の状態であれば「iOSは最新です」といった表示がされます。iOSのバージョンを最新にしたら、再度クイックスタートを行ってみましょう。
クイックスタートをするにはApple IDが必要です。
「自分のApple IDは理解している」「Apple IDでログインできている」ということが分かる方は問題ありませんが「AppleIDって何?」と疑問に思っている方はApple IDが未設定のままiPhoneを使っていた可能性が高いです。
Apple IDは、iPhoneの「設定」を開いて、一番上に出てくる自分の名前が書かれている欄をタップすると名前の下に表示されます。もし設定を開いて、一番上の欄が「iPhoneにサインイン」と表示されている場合は、Apple IDが未設定となっています。
Apple IDが未設定のままだとクイックスタートはできないので「iPhoneにサインイン」をタップして「Apple IDをお持ちでないか忘れた場合」から新しくApple IDを発行しましょう。
移行先のiPhoneが工場出荷状態になっていない可能性も考えられます。
新品のiPhoneは当然、工場出荷状態になっているので、起動をするとクイックスタートの案内が出ます。ですが、中古のiPhoneは購入時に工場出荷状態になっておらず、起動をすると通常通りのホーム画面が表示される場合があります。通常のホーム画面からクイックスタートはできないので、iPhoneを初期化して工場出荷状態にしましょう。
移行先のiPhoneを初期化する方法は以下の通りです。
必ず移行先のiPhoneの初期化を行ってください。クイックスタートは移行先から始めるものなので、移行元のiPhoneを初期化する必要はありません。もし移行元のiPhoneを初期化してしまうと、データがすべて失くなってしまい、移行が行えません。
ちなみに、移行先のiPhoneを初期化する際に「アップロードを完了してから消去」を選ぶこともできますが、まだ使っていないiPhoneのデータをバックアップしても意味はないので、基本的には「今すぐ消去」を選びましょう。
Bluetoothがオフになっている場合もクイックスタートができません。
前述したとおり、クイックスタートは双方のiPhoneのBluetooth接続によって行うため、Bluetoothをオンにする必要があります。
Bluetoothは「設定」→「Bluetooth」からオンオフを切り替えられます。またiPhoneの画面下部を上にスワイプしてコントロールセンターを出して、Bluetoothマークをタップすることでもオンオフを切り替えられます。
マークが灰色になっているとオフの状態なので、タップして青色のオンの状態にしましょう。
クイックスタートは、移行先のiPhoneに表示された画像を移行元のiPhoneのカメラで撮影する必要があるため、カメラが壊れていて使えない状態だと移行できません。
カメラが使えない場合は、iCloud経由でデータを移行しましょう。クイックスタートの案内画面から「手動で設定」をタップし、設定を進めて「App とデータ」の段階になったら「iCloudバックアップから復元」を選択して移行を進めましょう。
クイックスタートはWi-Fi経由でも行えますが、Wi-Fi環境が安定していないと移行に時間がかかります。
そのため、自宅にWi-Fiがなかったり、Wi-Fi環境が不安定な場合は、フリーWi-Fiスポットを使ってクイックスタートを行うのも一つの手です。
また公式で推奨されているわけではありませんが、ライトニングケーブルを使って有線接続にてデータ移行を行っている例も多くあります。「Lightning - USB 3カメラアダプタ」を持っている場合は、有線接続でのクイックスタートも検討してみましょう。
Lightning - USB 3カメラアダプタ
(画像引用元:Apple公式サイト)
接続方法は以下の通りです。
端末同士が離れすぎている場合もクイックスタートができません。データを転送している間はiPhoneを極力近づけておきましょう。
移行元のiPhoneが送信するデータ量よりも、移行先のiPhoneの容量が少ないと、データの転送ができません。
移行先のiPhoneの容量が少ない場合は、全てのデータを移行することはどうしてもできないので、移行元のiPhoneの一部の画像データをiCloudに保存したり、不要なアプリや動画などを削除したりして、移行するデータ量を少なくしましょう。
どのアプリを削除すればいいかわからない場合は「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」から「非使用のAppを取り除く」を有効にすることをおすすめします。
iPhoneに何らかのエラーが発生してフリーズしたり、一時的なエラーが発生したりしたためにクイックスタートができていない可能性も考えられます。フリーズや一時的なエラーは再起動をすることで、改善する場合があります。
再起動をする方法は以下の通りです。
iPhone X/11/12/13の場合
iPhone SE(第2、第3世代)/6/7/8の場合
フリーズしている場合は通常の再起動はできないので、強制的に再起動を行ってください。
強制的に再起動をする方法は以下の通りです。(iPhone8以降)
双方のiPhoneの再起動が完了したら再度クイックスタートをしてみましょう。
ここまでの項目は問題ないのにクイックスタートが上手くいかない、という方はクイックスタートの手順が間違っているかもしれません。ここからはiPhoneのクイックスタートを行う手順と注意点を詳しく解説していきます。
まずクイックスタートの前準備として以下の事項を確認しておきましょう。
前準備ができたら以下の手順でクイックスタートを行いましょう。
以上でクイックスタートは完了です。
クイックスタート時は充電の残量に注意しましょう。
充電の残量が少ないと、データの転送中に充電が切れてキャンセルとなる恐れがあります。できれば充電は満タンの状態、もしくは充電しながらデータの転送を行いましょう。
また、クイックスタートをする前にSIMカードは差し替えしておくと便利です。データ移行にSIMカードの有無による変化は特にありませんが、SIMカードは電源を切った状態で抜き差しをしなければいけないため、転送後にSIMカードを差し替えると電源を切る手間が増えます。
移行先のiPhoneの電源が切れている状態からSIMカードは入れ替えておき、スムーズに移行先のiPhoneを使いましょう。
ちなみに新しくeSIMに変える場合、eSIMで乗り換えをする場合はSIMカード差し替えの必要はありません。
ここまで、クイックスタートが上手くいかない際に確認したい設定や、クイックスタートの正しい手順を紹介してきました。すべて問題ないはずなのに、iPhoneのクイックスタートができない…という場合でも安心してください。クイックスタートを使わずとも、iCloudやiTunes経由でデータ移行をすることで、iPhoneのデータは引き継ぎできます。
クイックスタートがうまくいかない方、カメラが壊れていてできない方はiCloudやiTunes経由でのデータ移行に挑戦してみましょう。
iCloudとはAppleが提供している、写真やファイルをインターネット上に保存できるサービスです。iCloudへ古いiPhoneのデータをアップロードして、その後新しいiPhoneを起動する際に、iCloudへ保存したデータを復元することで、データ移行が可能です。
パソコンを使うことなく、写真や動画などのデータの移行ができるので、クイックスタートの代替手段として優秀です。
5GBまでは無料で利用でき、5GBより大きい容量を使う場合はサブスクリプションサービスに登録することで最大2TBまで保存ができます。
iCloudでのバックアップの手順は以下の通りです。
安定したWi-Fi環境がないと復元ができないので、家にWi-Fiがない場合はWi-Fiスポットなどを利用して復元をしましょう。ちなみに移行元のiPhoneを紛失・故障などをして使えない状態になっていたとしても、「iCloudバックアップ」をオンにして、iPhoneが充電中でWi-Fi接続されていてスリープ状態、という条件を満たしていれば自動的にバックアップを作成してくれているので、データの復元は期待できます。
iPhoneはiTunes経由でもデータ移行ができます。無料で移行できるのが大きな特徴です。iCloudとは違い、インターネット上ではなくパソコン内に保存するため、移行できるデータ容量はパソコンのデータ容量に依存します。
iTunes経由での手順は以下の通りです。
iCloudと同じように日ごろからiTunesと繋げてバックアップを取っておけば、iPhoneを紛失した際にもデータの復元が期待できます。ただしパソコン内へ保存する性質上、パソコンが故障した場合、パソコンも一緒に紛失してしまった場合はデータの復元ができないので注意しましょう。
iPhoneのクイックスタートは非常に便利なサービスですが、移行元のiPhoneが問題なく作動していなければ利用できません。クイックスタートがうまくいかなかったときは、今回紹介した方法で確認したり、正しい手順を確認してみましょう。
それでも、うまくいかない場合はiCloudバックアップなども試してみてください。
「iCloudバックアップ」をオンにして、Wi-Fi接続などの条件が整っていれば自動的にバックアップを作成してくれるので、データの復元が可能です。
提供:スマホ保険Blog
本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。