環境問題が世界共通の課題として認識されるなか、二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術「CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)」に関心が集まっています。
温室効果ガス削減への取り組みはさまざまな分野で広がっていますが、産業によってはCO2の排出を少なく抑えることが難しいところもあります。
例えば、飛行機やトラックなどの運輸産業、鉄鋼などの素材産業などです。こうした分野ではCCSの活用が必要不可欠とされています。
国は、2050年までに年間約1億2000万~2億4000万トン(2020年度CO2排出量の1~2割程度)のCO2を貯留できるようにすることを目指しています。
民間の研究開発などを支援し、2030年から本格的にCCS事業をスタートさせたい構えにあるようです。
日本以外の各国も既に動き出しています。
米国では10年間で約50兆円程度のCCSを含む対策を2022年に定めたほか、中国では2050年に年間貯留量20億トンを目標に掲げています。
国の後押しを受け、国内企業の取り組みも活発化してきました。
直近では三菱重工業<7011>と伊藤忠商事<8001>、大手ゼネコンの大成建設<1801>など大企業4社が、CCSの事業化に向けて共同で取り組みを進めることを明らかにしました。
また、石油元売り大手の出光興産<5019>と資源開発の石油資源開発<1662>、北海道電力<9509>の3社は、北海道の苫小牧エリアでCO2の回収や有効活用、貯留を行うための検討を始めています。
「CO2回収・貯留」は、気体として大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を人為的に回収し、地中・水中などに封じ込めること、また、その技術のことです。
株式市場では、技術自体やその技術を応用したプラントや関連部材、それらを扱う専門商社など関連銘柄のすそ野は広いです。
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