世界的に半導体が不足しているため、自動車を筆頭に多くの産業のサプライチェーン(供給網)に影響が出ているというニュースを耳にしている方は多いと思います。
ただし、半導体にもさまざまな種類があり、使われる商品によって需給関係が緩んでいるものもあります。
世界的な物価高の影響で個人消費が停滞するなか、スマートフォンやパソコンの売れ行きが鈍っており、つれてこれらに使われている「演算」や「記憶」などデータを扱うメモリー半導体については足もとで過剰在庫となっているケースもあるようです。
ただ、パワー半導体と呼ばれる種類の半導体は需要が増加の一途にあります。
パワー半導体とは、半導体の中でも電子機器へ電力を供給したり制御したりする役割を持ち、モーターの駆動や交流・直流の変換といった“力仕事”を担います。
モーターなど大出力の動力に対応するため、産業機械向けや電装化が進展する自動車向けで旺盛なニーズがあり、特に今後は世界的に進む電気自動車(EV)シフトの流れを背景として市場拡大が加速することが見込まれているのです。
2025年にパワー半導体は3兆円を超えるマーケットが創出されると試算されています。
日本では三菱電機<6503>や富士電機<6504>など大手電機メーカーや、ローム<6963>、ルネサスエレクトロニクス<6723>といったデバイス関連メーカーの中に世界屈指の実力を有する企業が多く、株式市場でも同分野をビジネス領域としている銘柄には投資家の熱い視線が注がれています。
「パワー半導体」は、交流を直流に変換する、電圧を下げるなど、電気エネルギーの制御や供給に用いられる半導体のことです。
用途は広く、電力・鉄道車両・家電製品などに使われており、とりわけ家電ではエアコンなどインバーター(電流の直流を交流に変換する装置)製品に多く使われています。
2021年年初からのパワー半導体不足は、株式市場でも大きな話題になっており、半導体メーカーに加え、その素材となる部材メーカーも関連企業として注目されています。