金持ちになるには、いくつかの方法があります。
一つは、人からもらう事。主に相続や贈与によってです。
二つ目は、投資で稼ぐこと。不動産や株などで当てるのです。
そして三つ目が、仕事で稼ぐことです。いわゆる「高年収」になること。
どの方法も、上手くやれば金持ちになれます。
しかし、多くの人が実現可能で、かつギャンブル性が低いのが、仕事で稼ぐことです。
一度確立してしまえば、よほどのことがない限りは、長年にわたって、富をもたらしてくれます。
仕事で実力をつけて、年収を上げること。
多くの人が採る、現実的な選択肢です。
しかし、そこには一つ、条件があります。
それは、「稼げる人」になるためには、営業の経験を積む必要があるという事実です。
会社は、カネを稼がねばなりません。
潰れてしまうからです。
商売の社会的意義、経営方針の有無、あるいは規模の大小に関わらず、そこは変わりません。
また稼げていない会社のほとんどは、雰囲気が悪いです。
閉塞感があり、停滞した会社は、人をこき使う「ブラック企業」になりやすいからです。
カネを稼がねば、いい人が居つかない。
いい人がいない企業は、業績が上がらない。
業績が上がらないと、ますますいい人が居なくなる。
この負のループで、会社は徐々に崩壊します。
それゆえに、会社で最もエラいのは、間違いなく「売上をつくる人=稼げる人」です。
多くの場合、それは「営業」という事になるでしょう。
私が訪問した多くの企業でも、「営業不要で稼ぐ仕組み」が整ってしまっている一部の企業、例えばインフラ系の企業などを除けば、エース人材はほぼ、営業部門に配属されていました。
これは別に不思議なことではありません。
考えてみれば、「経理」や「総務」「企画」などがなくても、会社は存続できますが、営業がなければ会社は存続できないからです。
実際、どんなに商品が良くても、「営業」無しに売れるほど、世の中は甘くありません。
これは、テック企業でも同様で、シリコンバレーの偉大な投資家である、ピーター・ティールは「平凡な商品でも営業が強ければ市場を独占できるが、その逆はない」と述べています。
そのため、営業部門は全社的に発言力が強く、また、仕事ができる人が営業部門に集まった結果、そこに配属された人もエース級の人材に育つことが良くあります。
また、起業家の役割はまず「営業」だということも、知っておいて損はありません。
裕福な中小企業の社長も、結局は「営業」のできる人たちです。
会社が窮地に陥った時に、社長が何とか頑張って仕事を作れるかどうか。
それがあっけなく潰れてしまう会社と、粘り強く存続できる会社のちがいです。
起業をするにも、副業をするにも、そしてサラリーマンとして大金を稼ぐにも、実は「営業の経験」は非常に重要だと言えます。
しかし、営業職は、とくに新卒からすると、それほど人気ではありません。
その理由はよくわかります。
というのも、わたしも学生時代に「営業」になりたくなかったからです。
その理由としては、
1.ノルマがきつそう
2.お客さんにへつらわないとならない
3.売るだけでスキルがつかない
と言ったものを想像していました。
しかし、実際にはそれは全くの誤解でした。
現実的には、営業は非常に多くのメリットのある仕事です。
営業をやっていると、「売れるもの」と「売れないもの」のデータや、お客さんの要望、あるいは苦情などが常に入ってきますから、現在の商材のマーケットに関する解像度の高い情報を受け取ることができます。
これは、社外に積極的に出ることがない部署にいると、身につきにくいものですし、時に、現場にいるぶん、マーケティング部門のような数字やデータを主体として扱う部署よりも、お客さんの細かい要望に気づきやすいでしょう。
また、自社を客観的に見ることができますから、業界内、あるいは業界外に転職をする際にも、自分がどの程度の価値を生んでいるかを知りやすいと言えます。
また、「ノルマがキツい」というのは実は誤解です。
ダメな商品の会社の営業はきついですが、良い商品を抱えている営業は、「売れすぎて忙しすぎる」くらいで、実際はお客さんに大いに喜んでもらえる仕事なのです。
2.社外人脈の獲得ができる
営業はその性質上、社外の人と最も頻繁に仕事をする仕事です。
それゆえ、そこで得た人脈は、社内に留め置かれているひとよりも、はるかに豊富で、バリエーションに富むものとなりやすいでしょう。
もちろん、社内の人脈をないがしろにしてよいわけではないのですが、社外人脈の無い状態で社内政治に参加するのと、豊富な社外の人脈を持つ(特に有力なクライアントに気に入られているなど)のとでは、後者のほうが社内をも動かす力を持っています。
また、給与を上げたいと望むならば、営業が最も転職しやすいでしょう。
「腕の良い営業」はどの会社でも、引っ張りだこで、市場価値の最も高い人材の一つです。
3.クロージング技術が身につく
営業は、最終的には、商品やサービスと引き換えに、カネをもらうのが仕事ですが、当然、営業の腕にも巧拙があります。
その腕の差が出やすいのが、クロージングです。
クロージングとは、「この条件で、最終的には取引を決めてもらえないでしょうか」
と、相手に上手に意思決定を迫る技術です。
これができないと、いつまでたっても商売ができません。
それゆえ、営業の技術の中でも最も重要なものの一つが「クロージング」だという人も少なくありません。
この「相手に意思決定をせまる技術」は、当然、他の職種であっても重要です。
なぜかと言えば、仕事は意思決定の連続だからです。
他の職種ではなかなか、この「クロージング」を練習するチャンスが少ないのですが、少なくとも営業では毎日のように、これを実践できます。
4.対人能力全般が身につく
「コミュニケーション能力」とも言いますが、もうすこし具体的に言えば「対人折衝能力」と言ってよいでしょう。
広義では前項のクロージング能力も対人折衝能力に含まれますが、ここでいう対人折衝能力は、「相手の考えを見抜く能力」に近い意味で使っています。
プライベートでも仕事でも、「相手が何を考えているか」をちょっとしたことから読み取る能力は非常に重要です。
尊敬を得るにも、できる人だと思ってもらうにも、「相手が何を考えているか」を知っていると、圧倒的に有利だからです。
この「相手の考えを見抜く能力」は、社会的知性とも言われ、IQのような学校で重視される認知的な知性よりもより大きな概念です。
それゆえ、学校では身につきにくい。
社会に出てから身につけるしかないのですが、営業はそれをできる場として最高です。
ですから営業は「お客さんにへつらっている」なんて、とんでもない誤解です。
実際には、できる営業は「人の心を操る」ことに長けている、したたかな人たちです。
以上のように、仕事で稼ぐための一連のスキルセットが、営業をやることで一番早く身につきます。
コンサルティング会社では、一番下っ端が調査や資料作成などをやり、一番上に位置するパートナーやマネジャークラスが営業をやるのも、「営業に最も能力が必要とされる」からです。
イメージだけで嫌わず、稼ぎたいなら営業にまず飛び込んでみること。
私は自信をもって、「稼ぐ」ためには、営業が必須の経験だと言い切ります。