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投資ファンドとは 投資信託との関係を含めて詳しく解説
投資ファンドとは 投資信託との関係を含めて詳しく解説

投資ファンドとは 投資信託との関係を含めて詳しく解説

2025/09/23に公開
提供元:横内美保子

2024年から始まった新しいNISA制度の口座数は2025年3月末で2,647万口座に上り、その投資対象になっている「投資信託」に注目が集まっています。*1
どんな投資信託を選んだらいいのか、頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

金融関係の資料には「投資信託(ファンド)」という表記がよくみられますが、「ファンド」と「投資信託」とは同じものなのでしょうか。
その関係を押さえた上で、ファンド・投資信託に関する有益な情報を提供します。


「ファンド」とは

「ファンド」とはどのようなものでしょうか。


「ファンド」と「投資信託」の関係とは

まず、「ファンド」と「投資信託」の関係をみていきましょう。
投資信託協会によると、「ファンド」とは、「何らかの目的で資金を集めてその目的を達成するために資金の管理・運用をする仕組み」のことです。*2

一方、「投資信託」は以下のように説明されています。*3

『投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品』

つまり、「ファンド」は仕組みであり、「投資信託」はその仕組みを活用した金融商品ということになります。
ただし、同協会は、「投資信託」のことを「ファンド」と呼ぶ場合も多いと指摘した上で、「投資信託」について、以下のように述べています。*2

『日本の投資信託は「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づき主務官庁の監督を受けている金融商品であり、その運用は、金融商品取引法に基づき投資運用業の登録を受けている「金融商品取引業者」が行っている。この点は他のファンドと呼ばれる商品と大きく異なる点である。』

このことから、 もともとは仕組みを表す「ファンド」が、金融商品である「投資信託」を意味する場合もあること、そして日本の「投資信託」は「ファンド」の一種であると解釈することができます。

この記事では以上をふまえ、ファンドの一種である「投資信託」を中心にみていきましょう。


投資新信託の仕組みと運用

投資信託の仕組みは下の図1のようなものです。*3


0

図1 投資信託(ファンド)の仕組み

出典)投資信託協会「そもそも投資信託とは?」


ファンドで集めた資金をどのような対象に投資するかは、投資信託ごとの運用方針に沿って専門家が行います。

投資信託の運用成績は市場環境などによって変動するため、購入後に運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず、投資した額を下回って損をすることもあります。そのどちらの場合も、損益は投資額に応じて投資家に分配されます。

したがって、 投資信託は銀行預金とは違い、元本が保証されている金融商品ではないことに注意しましょう。


「商品分類」とは

投資信託には、さまざまな種類や分類があり、それらの基本を知ることは、投資信託を選ぶ際に役立ちます。まず、投資信託の説明書である目論見書などに表示されている「商品分類」についてみていきましょう。


商品分類表

投資信託は商品によって投資対象がさまざまです。*4
そこで、 投資家が投資対象などを把握しやすくするために、投資信託協会は統一的な投資信託の分類方法である「商品分類」を設けています。

この商品分類では、投資信託が主にどの資産(金融商品)に投資するのかなどが分かりやすく分類されています。

商品分類には下の表1のような区分があります。


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表1 投資信託協会による商品分類表

出典)投資信託協会「運用対象での分類」


この分類表の項目について、表1の左側から順にみていきましょう。


購入できるのはいつか

単位型・追加型は、どのようなタイミングで購入できるかを基準とした分類で、以下のような違いがあります。*5


  • 単位型:投資信託が立ち上がる期間(当初募集期間)にのみ購入できる投資信託
  • 追加型:原則的に、投資信託が運用されている期間中いつでも購入できる投資信託

投資対象の地域はどこか

次は、投資対象の地域を基準とした分類です。*4


  • 国内:主な投資収益が、実質的に国内の資産(金融商品)から得られるもの 海外:主な投資収益が、実質的に海外の資産から得られるもの
  • 内外:主な投資収益が、実質的に国内および海外の資産から得られるもの

金融商品は何か

対象資産の形態を基準にした分類もあります。


  • 株式:主な投資収益が、実質的に株式から得られるもの
  • 債券:主な投資収益が、実質的に債券から得られるもの
  • 不動産投信(リート):主な投資収益が、実質的に不動産投資信託、不動産投資法人から得られるもの
  • その他資産:主な投資収益が、実質的に上記以外の資産から得られるもの
  • 資産複合:主な投資収益が、実質的に上記の複数の資産から得られるもの

独立した区分

「商品分類表」には、「独立した区分」として、以下のようなものが挙げられています。


  • MMF(マネー・マネージメント・ファンド):毎日決算を行い、国内外の公社債や短期の金融商品を中心に運用する、公社債投資信託のひとつです。
    購入・換金は1円以上1円単位で行います。 一般的にMMFは、買付から30日未満までに換金すると、1万口につき10円の信託財産留保額がかかります。
  • MRF(マネー・リザーブ・ファンド):毎日決算を行い、安全性の高い国内外の公社債や短期の金融商品を中心に運用する、公社債投資信託です。
    証券総合口座で資金を一旦プールするための商品としても用いられており、受益者(投資信託の権利を持つ人)の数も多い商品です。購入・換金は1円以上1円単位で行います。
  • ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託):日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指標に連動するように運用され、証券取引所に上場されている投資信託です。

たとえばTOPIXとは、東京証券取引所によって発表される、東証第1部の全銘柄の動きを反映した株価指数のことです。
このTOPIXに連動するETFは、TOPIXの値動きとほぼ同じ値動きをするように運用されます。つまりこのETFを保有することで、TOPIX全体に投資を行っているのとほぼ同じ効果が得られるのです。*6

なお、日本の市場に上場しているETFの中には、投資信託の仕組みを用いていない商品や、日本の法律ではなく外国の法律に基づいて組成された外国籍のETFもありますが、それらも総称してETFと呼ばれることがあります。


補足区分

補足分類として、以下のような項目があります。*4


  • インデックス型(インデックスファンド):特定の指数(インデックス)と運用の成果を連動させ、指数と同じような値動きとなる投資信託。

    先にみたETFとの違いは、ETFが上場しているのに対して、投資信託は上場していない点です。
    ETFは株式と同じように証券会社を通じて証券取引所に買付や売却の注文を出すため、価格は株式同様にリアルタイムで値動きしています。
    一方、投資信託は通常、注文を出した当日は売買金額(基準価額)が公表されず、注文した翌営業日以降に公表されます。*7
  • 特殊型:投資者に対して注意喚起が必要な、特殊な仕組み・運用手法を用いるもの。

「商品分類」の表示方法

今までみてきた商品分類は、どのように表示されているのでしょうか。*4


  • 追加型で主に国内株式に投資する投資信託
    「追加型/国内/株式」
  • 追加型で主に海外債券に投資する投資信託
    「追加型/海外/債券」
  • 追加型で主に国内株式に投資し、日経平均株価に連動する運用成果を目指す投資信託
    「追加型/国内/株式/インデックス型」
  • 単位型で日経平均の水準が一定範囲に収まれば、元本が確保される仕組みの投資信託は
    「単位型/国内/株式/特殊型(条件付運用型)」

投資信託を選ぶときには、目論見書の表紙などに記載されているこうした記載をみると、その投資信託がどのようなものか把握することができます。


っていると便利な他の分類

投資信託には「商品表示」の他にも知っておくと便利な分類があります


払い戻しに応じるかどうか

運用期間中に払い戻しに応じるかどうかは大きな違いです。*5
こうした基準での分類には、以下の2つがあります。


  • オープンエンド型:原則的に、運用期間中、払い戻しに応じる投資信託
  • クローズドエンド型:運用期間中、払い戻しに応じない投資信託

どのような形態か

以下は投資信託の形態を基準にしたものです。


  • 契約型:運用会社と信託銀行が信託契約を結ぶことにより組成される投資信託で、日本ではこの契約型が主流です。
  • 会社型:投資を目的とする法人を設立することによって組成される投資信託。J-REIT(J-リート:不動産投資法人)などを中心に用いられています。

J-REITは、多くの投資家から資金を集めて不動産等を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託で、「不動産投資法人」が運用します。*8
J-REITは原則として途中解約ができない「クローズドエンド型」の投資信託ですが、証券取引所に上場しているため、株式と同じように自由に売買が可能です。

不動産投資法人は、オフィスビル、商業施設、賃貸マンション、物流拠点などさまざまな不動産に投資しています。


アクティブファンド

上でみたように、「インデックスファンド」とは特定の指数と運用の成果を連動させ、指数と同じような値動きとなる投資信託のことです。

一方、 「アクティブファンド」とは、運用会社が独自に銘柄選択や投資判断などを行い、TOPIXなどの指数を大きく上回る投資成果をあげようとする投資信託です。

アクティブファンドは高いリターンが期待できますが、運用がうまくいかないと、指数を下回る運用成果しか出ないリスクがあります。また、運用は運用会社独自の銘柄選定や投資対象の精査などを行ったり、短期的な売買を繰り返したりするため、インデックスファンドよりも運用管理費用(信託報酬)などの投資コストがかかります。


為替ヘッジの有無

為替ヘッジとは、為替レートの変動による損益を抑えるための取り引きです。*9
為替ヘッジありの商品は、為替変動のリスクを軽減できるため、安定した運用が期待できるというメリットがあります。
しかし、ヘッジを行うためのコストがかかるため、運用効率が下がる可能性があります。

一方、為替ヘッジなしの商品は、ヘッジコストがかからず運用費用を抑えられますが、為替変動のリスクを直接受けます。
そのため、為替が不利に動けば損失を被るリスクがある一方で、有利に動けば為替差益を得られる可能性もあります。


おわりに

「ファンド」と「投資信託」は混同されがちですが、「投資信託」はファンドの一種と理解することができます。
投資信託には元本割れのリスクがありますが、専門家が運用してくれる安心感があります。
投資信託のさまざまな種類や分類、特徴を理解し、目的に合った商品を選ぶことは、きっと賢い資産形成に役立つでしょう。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。

出典
*1 金融庁「NISAの利用状況」
*2 投資信託協会「用語集 ファンド」
*3 投資信託協会「そもそも投資信託とは?」
*4 投資信託協会「運用対象での分類」
*5 投資信託協会「制度上の種類」
*6 投資信託協会「ETFの仕組み」
*7 日本証券業協会 投資の時間「ETFと投資信託の違いを教えてください」
*8 投資信託協会「基礎知識編 投資信託の基礎知識」
*9 三菱UFJ eスマート証券「【初心者必見】投資信託の為替ヘッジありとなしの違いとは?」


横内 美保子
よこうち みほこ

博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーでもあり、ウェブライター、編集者、ディレクターとして分野横断的な取り組みを続けている。

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