
日本では低金利が長く続いてきました。しかし、日銀がマイナス金利政策を解除した2024年以降、金利環境は大きく変化しています。このような変化に、私たちはどのように対応していけばよいのでしょうか。
本コラムでは、2026年の金利動向と金利上昇局面で意識したいお金の増やし方・貯め方のポイントを解説します。
まずは、2026年の年初時点における日本の金利動向を簡単に振り返っておきましょう。
2025年12月の金融政策決定会合において、日銀は政策金利を従来の0.5%から0.75%に引き上げることを決定しました。政策金利0.75%は、1995年以来約30年ぶりの高水準です。*1
マイナス金利解除を決めた2024年3月以降、政策金利は上昇傾向が続いています。
日銀が利上げを決めた主な理由は以下のとおりです。*2_P1
企業収益や賃上げの動きから、利上げを実施しても日本経済に大きな問題は生じないと判断したと考えられます。*1
長期金利は、期間1年以上のお金の貸し借りに使われる金利です。日銀の金融政策によって決まる政策金利(短期金利)とは異なり、景気の先行きや物価上昇の予測を反映して市場で決まることから「経済の体温計」と呼ばれます。*3
日銀の利上げを受けて、長期金利も上昇傾向が続いています。
2026年1月20日の債券市場では、長期金利の代表的な指標である10年国債利回りが2.38%まで上昇しました。1999年2月以来、約27年ぶりの高い水準です。*4
日銀は、利上げ後も「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」としています。また、「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との考えを示しています。*2_P2
景気・物価の状況に左右されるものの、今後も日銀による利上げは続く可能性が高いといえるでしょう。
長期金利については、日銀による継続的な利上げと国債買い入れ額の段階的な減額のもと、今後も緩やかな上昇傾向が続くと想定されます。*5_P15
債券市場では、国債が売られて価格が下がると金利が上がる仕組みになっています。そのため、日銀が国債の買い入れを減らして価格が下がると、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。*6
また、2025年10月に発足した高市政権は「責任ある積極財政」を掲げています。さらに2026年1月には衆議院解散を決め、与野党から消費税減税に関する発言が相次いでいます。長期金利の動向は、財政の健全性への見方に左右される部分はあります。そのため、財政拡張リスクへの懸念が広がれば長期金利の上昇要因となるかもしれません。*4
金利が上昇すると、家計にはプラスとマイナスの両面の影響があります。ここでは、代表的なポイントを確認します。
金利上昇の恩恵を感じやすいのが預金金利です。銀行に多額のお金を預けている人ほど、より多くの利息を受け取ることができます。2025年12月の利上げを受けて、メガバンクを中心に預金金利の引き上げが進んでいます。*7
たとえば、三菱UFJ銀行は、2026年2月2日から円普通預金金利を従来の0.20%から0.30%に引き上げることを発表しました。*8
長期金利の状況によっては、今後定期預金金利の引き上げの動きが広がる可能性もあるでしょう。
一方で、注意したいのが住宅ローン金利の上昇です。特に変動金利型ローンは政策金利の影響を受けやすく、適用金利が見直されると今後の返済額が増える可能性があります。*9
また、長期金利が上昇すると、固定金利型の住宅ローン金利も影響を受ける可能性があります。
全期間固定金利型の公的住宅ローン「フラット35」では、借入期間21年以上(融資率9割以下)の2026年1月の最低金利が、2017年10月以降の現行制度で初めて2%を超えました。*10
固定金利型の住宅ローンは、市場金利が上昇しても借入後の返済額には影響しません。*11
ただし、これから住宅ローンを組むのであれば、金利が上昇する前に借り入れるほうが毎月の返済額や総返済額を抑えることが可能です。
金利が上昇する環境では、これまで以上に家計管理と資産形成が重要になります。ここでは、実践しやすいポイントを紹介します。
お金を貯める第一歩は、支出の見直しです。特に効果が大きいのが、通信費や保険料、サブスクリプションなどの固定費です。一度見直せば、継続的な節約効果が期待できます。*12
たとえば、スマートフォンの契約プランを見直したり、格安SIMに乗り換えたりするだけでも年間数万円の差が生まれることがあります。使用頻度の低いサブスクリプションサービスを解約するのも効果的です。
金利上昇で住宅ローンの負担が増える可能性があるからこそ、固定費の見直しは優先度の高い対策といえるでしょう。
これから住宅ローンを組む人にとって、金利タイプの選択は悩ましい問題です。
変動金利は当初の金利が低い一方、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は金利が高めですが、借入時に返済額が確定する安心感があります。*11
重要なのは、「どちらが得か」ではなく「無理なく返済できるか」という視点です。将来の収入見通しや貯蓄状況を踏まえ、自分に合った金利タイプを選ぶことが大切です。
すでに変動金利で住宅ローンを組んでおり、金利上昇リスクに不安を感じる場合は以下2つの対処法が考えられます。*13
毎月の返済とは別に繰り上げ返済を行えば、支払利息が軽減され、金利上昇による影響を抑えることが可能です。一方で、手元資金が減少するため、生活費などに影響が出ないよう注意する必要があります。
また、固定金利型の住宅ローンに借り換えることで、金利変動リスクを回避するのも選択肢です。ただし、現在よりも適用金利が上がる可能性があるうえに手数料もかかります。事前にシミュレーションを行ったうえで、慎重に判断する必要があるでしょう。
将来に向けて資産を増やしていきたい場合は、金利動向に一喜一憂するよりも長期的な視点で運用に取り組むことが重要です。投資信託などを活用した「長期・積立・分散投資」を行うことで、価格変動リスクを抑えながら安定した資産形成を目指せます。*14
複数の資産に分けて投資すれば、1つの資産が値下がりしても、他の資産でカバーできます。また、定期的に積み立てを長く続けることで、平均購入単価を平準化する効果も期待できます。*15
景気や物価の状況次第ではありますが、2026年の日本は緩やかな金利上昇が続く可能性があります。家計にとっては預金金利の上昇などのプラス面もある一方で、住宅ローン返済には負担増となるかもしれません。固定費の見直し、繰り上げ返済、長期・積立・分散投資など、無理のないかたちでお金を増やす・貯める取り組みを実践していきましょう。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 NHK「日銀 利上げ決定 政策金利0.75%に引き上げ 30年ぶり高水準」
*2 日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2025年12月19日)」
*3 三菱UFJモルガン・スタンレー証券「長期金利(ちょうききんり)」
*4 NHK「長期金利2.35%に上昇 約27年ぶりの高水準」
*5 三菱UFJ銀行「内外経済の見通し(2025年11月)」
*6 Money Canvas「国債買い入れ減額 日銀の決定は市場にどんな影響をもたらす?」
*7 日本経済新聞「3メガ銀、普通預金金利0.3%に 日銀利上げで三菱UFJは33年ぶり高水準」
*8 三菱UFJ銀行「円預金金利及び短期プライムレートの改定について」
*9 三菱UFJ銀行「利上げとは?住宅ローンや為替・株価・物価に与える影響をわかりやすく解説」
*10 日本経済新聞「フラット35、1月の最低金利は2.08% 現行制度で初の2%超え」
*11 住宅金融支援機構「"金利のある世界"でどう変わる?これからの住宅ローン選びを考えよう」
*12 三菱UFJニコス「固定費を節約する方法は?家計の見直しポイントを解説」
*13 Money Canvas「金利が1%上がると住宅ローンはどれくらい変わる?生活防衛策は?」
*14 Money Canvas「【初心者向け】資産形成の基礎知識 ③「長期・積立・分散」を知ろう!」
*15 三菱UFJ銀行「第4章:投資の極意は長期・分散投資」
