宝くじは私たちに夢を与えてくれます。
もし当せんしたら…と、楽しいことをあれこれ思い浮かべながら購入したことがある方も多いのではないでしょうか。
一方で、宝くじをめぐっては多くの謎が存在します。
どんな人が当せんしているのか。
当せんするための秘訣はなにかあるのか。
そもそも運営しているのは誰で、どのような仕組みになっているのか。
売上金はどの程度で、収益金は何に使われているのか…。
こうしたさまざまな謎に迫り、思わず人に教えたくなるような宝くじの雑学を提供します。
まず、気になるところから始めましょう。
宝くじ当せん者はどんな人なのでしょうか。
2021年度の1年間に、数字選択式宝くじ以外で1,000万円以上の当せん金を受け取った高額当せん者にアンケートを実施し、回答者390人(男性253人、女性137人)の結果をまとめた「宝くじ長者白書」からその人物像を探ります。*1
ただし、この「白書」は高額当せん者全員ではなく、当せん者のうち、アンケートに回答した人を対象にしていることに留意する必要があります。
また、宝くじの購入者全員のデータがないため、厳密な意味での分析は難しいことを念頭に置き、ユニークなエピソードを楽しみながら、みていきましょう。
当せん者アンケートにはさまざまな項目がありますが、それらの割合の1位を総合すると、以下のような人物像が浮かび上がってきます。*1
*イニシャル:「名前・姓」の順
購入頻度は、「ジャンボのみ」が34%と最も多く、2位は「年数回」で24%、この2つを合わせると全体の6割近くに上ります。
ちなみに、「ほぼ毎回」買うという回答は10%でした。
血液型は、A型が33%でトップ。次いでO型32%、B型27%、AB型8.2%でした。*2
日本人のABO式血液型の割合は、おおよそA型40%、O型30%、B型20%、AB型10%といわれており、割合の順位はそれと同じ傾向を示しています。*3
次に購入動機やこだわりについてみていきます。*4
購入する理由は、「夢を持ちたいから」が最も多く、次いで「ひらめき」、「趣味」と続き、最も少なかったのは「お金が欲しくて一発勝負」でした(表1)。
表1 購入の理由
出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:購入のこだわり」
<エピソード>*5
鳥取県の会社員M.Sさん(45歳)は、宝くじの買い方すら知りませんでしたが、宝くじファンの友人がいて、ジャンボ宝くじのシーズンには熟考して売り場を決め、必ず大安吉日に購入する彼の様子をずっと見ていました。
そのあまりの熱心さを目の当たりにするうち、「そんなに楽しいものなのか」と、試しに買ってみる気になりました。
すると、初購入したサマージャンボの10枚のうちの1枚が、1等2億円に当せんしたということです。お友だちの方はどうだったのでしょうか…。
売り場を選んだ理由では、「いつも買っているから」が53%と最も多く、次いで「出かけたついでに」30%、「有名な売場」9.5%、「ひらめき」7.7%となっています。*4
<エピソード>*5
福岡県の会社員、H.Kさん(51歳)は、10年以上、宝くじに挑戦していましたが、継続こそが運を生み出すという信念を持っていました。売り場も2か所に決め、その売り場は絶対に変えずに購入していました。
そしてついに、オータムジャンボで1等の1億5,000万円に当せんしたということです。
一方、こんな当せん者もいます。青森県の会社員、S.Kさん(50歳)はある日、友だちと待ち合わせをしていましたが、その友だちから約束の時間に遅れると連絡が入りました。
そこで、たまたま目についた宝くじ売り場へ直行。ちょうどドリームジャンボが発売中で長い行列ができていましたが、何分も並んで20枚購入しました。すると1等の前賞5,000万円に的中したそうです。
次に購入時のこだわりをみてみましょう(表2)。*4
表2 購入時のこだわり
出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:購入のこだわり」
最も割合が高かったのは「その他」で26.7%に上ることから、表2にはあらわれていない、それぞれ独自のこだわりがあることが窺えます。
「その他」以外では、「連番・バラの割合」、「買う日にち」が上位に上がっています。
ゲン担ぎはどうなっているのでしょうか(表3)。*4
表3 ゲン担ぎ
出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:購入のこだわり」
表3をみると、ゲン担ぎも「その他」が41.8%を占め最も多いことから、当せん者には独自のゲン担ぎがあるようです。
「その他」以外では、「良い事があった時に購入」の割合が最も高く、次いで「お墓参りにいく」が続き、それ以外にも「悪い事があった時に購入」「特定の食事をする」といったユニークなゲン担ぎが並んでいます。
ちなみに、当せんの秘訣は、「運」が42%でトップ、第2位以下は、「継続」27%、「ひらめき」14%、「日ごろの行い」8%と続いています。*1
<エピソード>*5
福岡県のS.Tさん(63才)は、10年来の宝くじファンで、宝くじを買うと抽選日まで毎日欠かさず、お気に入りの願掛けグッズに祈願するのが習慣でした。その願掛けグッズとは、旅行先で買ったこけし人形。
グリーンジャンボも、いつもと同様に50枚購入して、当せん祈願をし続けたところ、1等1億5,000万円に当せんしたということです。
購入してから抽選までの宝くじ券の保管場所も興味深いところです(表4)。*4
表4 宝くじの保管場所
出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:購入のこだわり」
最も割合が高いのは「机の引き出し」で、2位は「神棚・仏壇」でした。
<エピソード>*5
ユニークなところに保管した人もいます。
グリーンジャンボ2等1,000万円に的中した大阪府の会社員、K.Nさん(38才)は、5年以上の宝くじファン。
「運が逃げないように冷凍庫の中に宝くじ券を入れて凍らせるといい」と本に書いてあったのを読んで、ひらめきました。アウトドアが趣味でクーラーボックスをよく使うので、その中に保管したのです。
よく宝くじを買ったまま、買ったことを忘れてしまうという話を聞きますが、当せん者は当せん発表後、どのくらい経ってから換金しているのでしょうか。*1
「1週間以上~1か月未満」が最も多く28%、次いで「2~7日未満」23%、「翌日」9%、「当日」8%で、これらを合わせて1か月未満で換金している人が68%に上っています。
最後に、気になる当せん金の使いみちをみてみましょう。
「貯蓄」がトップで43%、次いで「土地・住宅の改築や購入」16%、「借入金の返済」・「車の購入」15%、「家族サービス・親孝行」14%という回答結果でした。
では、そもそも宝くじは誰が発売し、どのような仕組みになっているのでしょうか。
宝くじを発売しているのは、47都道府県と20政令市で、総務省は許可権者の立場です(図1)。*6:p.1
図1 宝くじの仕組み
出所)総務省「宝くじの現状と課題について」p.1
宝くじの運用は「当せん金付証票法」などによって定められています。*7:p.1
例えば、宝くじの単価は原則100円、200円、300円、500円で、当せん金は発売総額の5割以下、1枚あたりの当せん金の最高倍率は、宝くじの種類によって、宝くじの単価の50万倍以下から500万倍以下と定められています。
また、この他に、手数料や印刷・宣伝費、収益金の金額なども法律によって決まっています。
以下の図2は、2020年度の宝くじ売上額の内訳です。
図2 宝くじ売上額の内訳(2020年度実績)
出所)総務省「地方財政審議会付議(説明)案件」 (2021年10月)p.1
売上額は2005年度の1兆1,047億円をピークに減少傾向にあり、2020年度は8,160億円でした(図3)。*7:p.5
図3 宝くじの売上額と収益金額の推移
出所)総務省「地方財政審議会付議(説明)案件」 (2021年10月)p.5
種類別にみると、かつてはジャンボが主力商品でしたが、近年は数字選択式がそれに代わり成長しています。
収益金も2005年度の4,398億円がピークで減少傾向にあり、2020年度は3,036億円でした。
宝くじの収益金は発売団体に納付され、その団体の貴重な財源になっています。*6:p.1
収益金の使いみちは「地方財政法」で定められていて、例えば、高齢化少子化対策、防災対策、公園整備、教育・社会福祉施設の建設改修などに使われています。*6:p.6, *8
「当せん金付証票法」は数回にわたって改正され、受託金融機関を銀行だけでなく幅広い金融機関に拡大したり、最高賞金の倍率制限を緩和したり、インターネット販売を導入したりしてきました。 *7:p.4
その結果、最高賞金の倍率が以前より上がり、インターネットで購入可能な宝くじの割合は2016年度販売実績で93.8%に上り、クレジットカード決済も可能です。*6:p.9
購入者の利便性と利益を図るために、券組も多様化しています(図4)。*6:p.10
図4 さまざまな券組
出所)総務省「宝くじの現状と課題について」p.10
「福連100」と「福バラ100」は3,000円x1枚が必ず当たり、「福連100」と「3連バラ」は前後賞も狙えます。
宝くじに高額当せんするのは難しいことですが、当せんするチャンスは誰にも平等に与えられています。
また、販売総額のうち約40%が収益金として、地域のために使われますから、もしはずれたとしても、社会貢献を果たしたことになります。*8
そうした側面にも目を向け、宝くじとの「良好なつき合い方」について考えてみてはいかがでしょうか。
その他Money Canvasではお金に関する雑学を解説しています。
存在目的に全力を投じる企業が生み出す利益とは?
→金儲けに興味なしでもお金が集まる秘密とは?
本稿執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
資料一覧
*1出所)宝くじ公式サイト「令和3年度「宝くじ長者白書」」(2022年8月5日)
*2出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:どんな人?>高額当せん者って、どんな人? -1,000万円以上の当せん者のうち390人にアンケート調査-」
*3出所)日本赤十字社 兵庫県赤十字血液センター「血液型について」
*4出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:購入のこだわり>高額当せん者って、どんな人? -1,000万円以上の当せん者のうち390人にアンケート調査-」
*5出所)宝くじ公式サイト「宝くじ当せん者レポート:過去の当せん者エピソード」
*6出所)総務省「宝くじの現状と課題について」(2018年10月4日)p.1, p.6, p.9, p.10
*7出所)総務省「地方財政審議会付議(説明)案件」 (2021年10月)p.1, p.5, p.4
*8出所)宝くじ公式サイト「活かされる宝くじの収益金」