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収入アップのためのリスキリング 何を学ぶ?リカレントとの違いは?
収入アップのためのリスキリング 何を学ぶ?リカレントとの違いは?

収入アップのためのリスキリング 何を学ぶ?リカレントとの違いは?

2024/02/18・提供元:Money Canvas

近年、急速な技術革新と持続的な産業構造の変化にともない、リスキリングの重要性が著しく高まっています。政府は「人への投資」として、リスキリングを進める人材や企業に対して助成金を提供しており、この支援策は今後一層拡充されるかもしれません。


リスキリングが注目を浴びる中、資格取得も欠かせない要素となっています。自分に合った資格を見つけるためにも、実際に「仕事に役立った」資格や、ビジネスパーソンが注目している資格を参考にしてみてはいかがでしょうか。


リスキリングとは

経済産業省の資料によると、リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています*1。


リスキリングはただの「学び直し」ではありません。最近では、個人が自身の興味に基づいてさまざまな学びを得ることが重要視されていますが、リスキリングは「これからも仕事で価値を生み出し続けるために」「必要なスキル」を学ぶことが強調されています*2。


特にデジタル技術が進む中で、新しい仕事や今後の仕事の進め方に不可欠なスキルを身につけることがより注目されています*1。


リスキリングに似た言葉に「リカレント教育」があります。リカレント教育は「働く→学ぶ→働く」というサイクルを続けるプロセスで、新しいことを学ぶために一度仕事を離れる必要があります。現職で働きながら学びを深めるリスキリングとは大きく異なるアプローチです*2。

「役立つ資格」1位はPMP

リスキリングというとAIやDXに注目しがちですが、本来の目的は、将来にわたって「その職業で価値を創造し続ける」ために「必要なスキル」を身につけることです。何を学び直すべきかは、個々の適性や所属する部署や業界、企業の経営戦略などによって異なります。


どのようにリスキリングすべきか、判断に迷う人もいるかもしれません。日経HR社が実施した「資格と学び直しに関する意識調査」から得られたデータが参考になります。


「日経転職版」登録会員を対象に、現在保有している資格に対して

「仕事で役に立った」

「会社で評価された」

「転職市場で評価された」

という3つの項目で評価してもらい、その合計点に基づいてランク付けがされました。


それによると、IT業界などで活躍するPM(プロジェクトマネージャー)のスキルを示す「PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)」が「役に立つ資格」のトップとなりました*3.


ITエンジニアをマネジメントし、プロジェクトを成功に導くPMは、IT業界において高い需要を誇る職種です。


2位にはMBA(経営学修士)がランクインしました。事業開発や財務会計、組織マネジメントなど、経営管理に関するスキルを幅広く学べます*3。


3位は英語資格の「TOEIC L&R 800点」*3。TOEIC800点台は、「英語が使える」と認められるレベルであり、外資系企業や海外部署への応募などにおいて有益な目安となります。


■役立つ資格TOP3

役立つ資格

出典)「日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」 役立つ資格1位PMP、取りたい資格は中小企業診断士とAI検定 日経HR p2を参考に筆者作成



「取りたい資格」は中小企業診断士とAI検定

また、先の調査では、これから取得したい資格について、「スタンダード資格」と「トレンド資格」の関心についても尋ねています。

「スタンダード資格」は広く認知されている一般的な資格であり、一方で「トレンド資格」は2020年前後に登場した新しい資格やデジタル系資格を指します。


スタンダードな資格の取得を考える上で、1位には経営コンサルティングの能力を示す国家資格である中小企業診断士が選ばれました。2位には、英語スキルを証明する「TOEIC L&R 900点台」がランクインし、3位には「簿記検定2級(日商)」が続きました*4。


多くの人が転職時のアピールや将来の独立のためにこれらの資格を目指しています。


■取りたいスタンダードな資格TOP3

スタンダードな資格

出典)「日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」 役立つ資格1位PMP、取りたい資格は中小企業診断士とAI検定 日経HR p3を参考に筆者作成



一方で、トレンドな資格の中では、AIの基礎知識と業務利用のスキルを認定する「AI検定」が1位となっています*4。

2位は統計知識とその実践力を評価する「統計検定」、3位にはデータサイエンティストとして求められるスキルや知識を問う「データサイエンティスト検定(DS検定)リテラシーレベル」が位置しています*4。


■取りたいトレンドな資格TOP3

トレンドな資格

出典)「日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」 役立つ資格1位PMP、取りたい資格は中小企業診断士とAI検定 日経HR p3を参考に筆者作成



これらのトレンドな資格は、急速な技術の進歩に対応するため、AIやデータ分析の専門知識やスキルを向上させたいと考える人が多いことを示しています。時代の変化に柔軟に対応するために、これらの資格が重要視されていることがうかがえます。

「リスキリング」で収入アップは本当か?

これまでリスキリングの資格に焦点を当ててきましたが、果たしてその労力に見合ったメリットがあるのか、と疑問を抱く方もいるかもしれません。


日経リサーチが、日本経済新聞電子版の読者で「リスキリングに取り組んだ人」にどのような変化があったか、という興味深い調査結果を発表しています。


■リスキリングによる自身の変化

リスキリングによる変化

出典)日経読者に聞く|リスキリングで「スキルアップ」43%「仕事の幅広がる」29% -学び直しに一定の効果、「転職」「起業・独立」は5%以下



最も多かった回答は「スキルアップした」(43%)で、これに続いて「仕事のモチベーションがアップした」(31%)、「仕事の幅が広がった(新しい職務や事業への転換)」(29%)となりました*5。


一部の人々には「年収が上がった」(6%)、「昇進・昇格した」(5%)など、目に見える形での好影響も報告されています*5。


特に30代では「年収が上がった」が10%と、全世代で唯一2桁に達しました。なお、「昇進・昇格した」は40代の8%が最も高い数字でした*5。


リスキリングが必ずしも年収の向上につながるとは言えませんが、一部の企業では資格取得に対して報奨金を提供している例もあり、これが年収増加に寄与する可能性があります。


取得した新しいスキルは、現在の仕事に良い影響を与えるだけでなく、転職や副業にも役立つことがあります。わずかな時間でも自分のスキルアップに投資することは非常に意義深いことではないでしょうか。


政府自治体は、リスキリングをサポートする措置を積極的に展開しています。関心がある方は調べてみるとよいでしょう。


本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

出典
*1、リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流p.6
*2、リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流p.7
*3、日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」 役立つ資格1位PMP、取りたい資格は中小企業診断士とAI検定 日経HR p.2
*4、「日経転職版 資格と学び直しに関する意識調査」 役立つ資格1位PMP、取りたい資格は中小企業診断士とAI検定 日経HR p.3
*5、日経読者に聞く|リスキリングで「スキルアップ」43%「仕事の幅広がる」29% -学び直しに一定の効果、「転職」「起業・独立」は5%以下

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