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ガソリン代が大幅値下げ?25年12月の暫定税率廃止で変わること|メリット・デメリットを比較
ガソリン代が大幅値下げ?25年12月の暫定税率廃止で変わること|メリット・デメリットを比較

ガソリン代が大幅値下げ?25年12月の暫定税率廃止で変わること|メリット・デメリットを比較

2026/01/27に公開
提供元:Money Canvas

2025年12月末でガソリン税の「暫定税率」がいよいよ廃止されました。

50年以上続いた“一時的”措置が終わる今回の決定は、ガソリンの価格が大幅に下がる転換点となりました。
物価高の中、家計にとって燃料費負担の軽減が期待されました。

しかし、その一方で「道路整備の予算はどうなるのか」「別の税金がふえるのではないか」といった不安の声も聞かれます。

本記事では、ガソリン税の仕組みを整理した上で、今回の廃止によって生じるメリット・デメリット、そして将来のリスクについて比較・解説します。


ガソリン税とは?

ガソリン税とは、ガソリンを購入する際に課される国税で、本来は道路網の整備やインフラ維持のための「道路特定財源」として導入されたものです。

具体的には以下の2つを合わせて「ガソリン税」と呼びます。*1 *2


  • 揮発油税(国税):48.6円/L(本則税率24.3円+暫定税率24.3円)
  • 地方揮発油税(地方税):5.2円/L(本則税率4.4円+暫定税率0.8円)

ガソリンにはさらに「石油石炭税(2.04円/L)」と「地球温暖化対策税(0.76円/L)」が上乗せされ、本体価格とこれらをすべて合計した金額に対して消費税(10%)がかかります。
つまり、税金部分にも消費税がかかる「二重課税」の構造になっているのです。*1

ガソリン価格の約4割はこうした税金が占めており、私たちは給油のたびに多額の税金を納めている計算になっていました。*1


ガソリン暫定税率とは?

今回廃止された「ガソリン暫定税率」とは、本来の税率に対し、期間限定で上乗せされていた特例税率のことです。


  • 導入の経緯:1974年の第一次オイルショック時、道路整備財源不足を補うため「2年間の時限措置」として開始。*1
  • 上乗せ額:25.1円/L(揮発油税24.3円+地方揮発油税0.8円)*3
  • 問題点:2〜5年ごとの延長が約50年も繰り返され、事実上の恒久財源となっていた。*4

名前こそ「暫定」ですが、半世紀にわたり継続されてきたため、法律上の名称を「当分の間税率」と変えつつ批判の対象となってきました。

かつてはガソリン代高騰時に税を一時減税する「トリガー条項」の発動も議論されました。
しかし2011年の東日本大震災直後、発動にともなう流通混乱の懸念や復興財源確保の必要性から創設1年でこの条項は凍結され、その後一度も機能しなかったのです。*1

今回の暫定税率廃止決定は、こうした長年の課題だった税制に区切りをつけるものといえます。


2025年12月でガソリン暫定税率が廃止

政府方針により、2025年12月31日をもってガソリン暫定税率は廃止されました。
関連法は同年11月に成立しており、2026年1月より適用されています。*5

これにより、ガソリン代は以下のとおり引き下げられる形となります。*6


  • 暫定税率分:マイナス25.1円/L
  • 消費税分(10%):マイナス約2.5円/L(上記税額減少分に対応)
  • 合計値下げ幅:1リットルあたり約27~28円の値下げ

たとえばレギュラーガソリンが現在160円/L程度の場合、暫定税率廃止後は132円/L前後になる計算です。

実際の現場では、在庫に含まれる税金の取り扱いなどで混乱が生じないよう、政府主導での調整が進められています。
暫定税率分の値下げ相当額の補助金を事前に段階的に支給し、廃止当日に価格が急落しないよう措置が取られました。
11月中旬以降、ガソリン補助金の支給単価を2週間ごとに5円ずつ引き上げ、12月中旬には暫定税率と同額の25.1円/Lまで増額することで、廃止前から徐々に価格を下げています。*3

そのため、廃止当日にガソリン価格が一気に大幅下落する事態は起きませんでした。
実際、給油所での買い控えや在庫切れによる混乱を防ぐため、政府は石油元売り各社やガソリンスタンド業者に対し安定供給への最大限の協力を要請し、在庫調整にも配慮しています。*3


ガソリン暫定税率が廃止のメリット

半世紀ぶりの減税となる今回の措置ですが、具体的にどのような恩恵があるのでしょうか。主な3つのポイントを解説します。


家計の負担軽減

最も直接的なメリットは、ガソリン代の値下げによる家計の可処分所得増加です。
暫定税率廃止でリッターあたり約27円安くなると仮定した場合の節約効果は、以下のようになります。*2


  • 月間50L給油する場合(近場の買い物・送迎など):月間 約1,350円/年間 約16,200円の節約
  • 月間100L給油する場合(長距離通勤・2台所有など):月間 約2,700円/年間 約32,400円の節約

昨今の物価高で家計が圧迫される中、固定費ともいえる燃料代が年間数万円単位で下がることは、生活防衛の観点から非常に大きな助けとなります。
特に、通勤や送迎で車が必須となる地方の共働き世帯にとっては、その影響はさらに大きくなるでしょう。


物流コストの低下による物価安定

ガソリンや軽油の価格低下は、経済全体にも波及します。
特に恩恵が大きいのは物流業界です。

トラックやバスなど燃料費が経営費用の15%前後を占める運輸業では、燃料コストの減少が業績改善に直結します。
燃料費負担が軽減されれば運送業者や公共交通機関の経営状態が改善し、輸送コストの低下を通じて商品の価格上昇圧力を抑制する効果も期待できます。*2

車を持っていない人であっても、「物価の安定」という形で間接的にメリットを享受できる可能性が高いのです。
また企業のコスト減は利益率の向上につながり、やがて賃上げの原資となって経済の好循環を生むきっかけになることも期待されています。


地方経済・観光への好影響

ガソリン代の低下は、移動手段を車に依存している地方経済の活性化に寄与します。

公共交通機関が十分でない地域では車が生活必需品であり、燃料費の高さはそのまま生活コストの上昇を招いていました。
今回の減税により地方住民の購買余力が回復し、地元の商店街やショッピングモールでの消費活動が活発化すると見込まれます。

さらに、「ドライブ旅行」の需要喚起も見逃せません。
ガソリン代高騰を理由に遠出を控えていた層が動き出せば、観光地への往来が増えて宿泊業・飲食業、道の駅など地域ビジネスが潤う可能性があります。*6

一世帯あたりのガソリン消費量が多い地域ほど恩恵が大きいため、都市部と地方の経済格差を縮める「地方創生」の一助となることも期待できるでしょう。


ガソリン暫定税率が廃止のデメリット

一方で、巨額の税収が消滅することによる副作用も無視できません。
ここでは主に「国家財政・政策運営」の視点から、懸念されている点を解説します。


税収減少による財源不足

暫定税率を廃止する最大のデメリットは、国および地方の税収が激減することによる「財源の穴」が生じることです。

ガソリン税分の暫定税率撤廃だけで、年間約1兆円の国税収入が失われ、軽油引取税の暫定分も含めると約1.5兆円の減収規模になります。
地方自治体に配分されていた財源も5,000億円以上減る試算です。*6

かつてガソリン税は道路特定財源でしたが、現在は用途を限定しない一般財源となっています。
道路整備だけでなく教育・福祉、国債の利払いなど広く国の歳出を支えてきた収入が丸ごと消えるため、その穴埋めに他の予算を削るか赤字国債で補填せざるを得ません。

財源不足による財政悪化が放置されれば、将来的に長期金利の上昇など経済への悪影響も懸念されます。


脱炭素目標との矛盾

環境政策の観点からは、今回の減税は政府の脱炭素戦略に逆行する動きだとの指摘があります。
政府は2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)実現に向け、ガソリン車から電気自動車(EV)への移行を推進しています。
しかし、ガソリン価格が下がれば、経済的なメリットから「ガソリン車のままで良い」と考える消費者が増えかねません。*6

CO2排出量の多いガソリン車の利用が再び活発化すれば、国際的な公約である脱炭素目標の達成が遠のきます。
環境負荷を減らすために炭素税(カーボンプライシング)の導入を議論している中で、化石燃料の実質的な減税を行うことは、政策としての整合性が問われる事態となります。*6


ガソリン暫定税率の廃止によるリスク

次に、上記で解説したデメリットよりもさらに踏み込んだ、国民生活に直接降りかかるかもしれない「実害」や「将来の負担」について解説します。


インフラ老朽化と防災リスク

税収減による財源不足は、私たちの暮らしの基盤であるインフラ維持にも影響します。

日本の道路・橋梁・トンネルの多くは高度経済成長期に整備され、老朽化が進んでいる状態です。
まさに今、多額の予算を投じて計画的なメンテナンスを行うべき時期ですが、暫定税率分の財源がなくなれば維持管理コストの確保が難しくなり、地方の生活道路や橋の補修が後回しになる懸念があります。

その結果、道路の安全性低下や通行止め増加につながる可能性があるのです。

日本は地震や台風など災害の多い国であり、道路網の脆弱化は災害発生時の復旧の遅れや物資輸送の寸断リスクを高めます。
いくらガソリンが安くなっても、肝心の道路が老朽化や災害で使えないようでは意味がありません。


「走行距離課税」など新たな負担の可能性

減収分を埋めるために導入が囁かれているのが、「走行距離課税(ロードプライシング)」です。
これはGPS等を用いて「走った距離分だけ課税する」という仕組みです。
もし将来的に導入されれば、これまでのガソリン税とは異なる新たな不公平を生むリスクがあります。*7


  • 都市部の富裕層:たまにしか車に乗らないため負担減。
  • 地方住民・物流業者:生活や仕事で長距離を走るため負担増。

「ガソリン税廃止で安くなった」と喜んだのも束の間、結果的に地方や物流業界にとってより厳しい税制へ移行してしまう可能性には注意が必要です。

2025年12月現在、政府・与党は国民の反発や物流への影響を考慮し、導入を「当面見送る」方針を明らかにしています。*8

ただちに新税が始まる可能性は低いものの、財源不足の議論が再燃すれば、この案が再び浮上してくることは十分に考えられます。
「喉元過ぎれば」とならぬよう、今後の税制改革の動向には引き続きアンテナを張っておくべきでしょう。


ガソリン代の負担減と今後の課題

2025年12月31日のガソリン暫定税率廃止によって、私たちのガソリン代は久しぶりに大幅な値下げを実感できます。
半世紀以上続いた「暫定」措置の撤廃は、家計の助けとなり、経済活性化の呼び水となることが期待されます。

しかし、その裏側で「年間1兆円の財源喪失」という重い課題が残ります。
減税の恩恵を享受しつつも、老朽化するインフラをどう維持するのか、脱炭素社会のコストを誰が負担するのかという議論からは逃れられません。

今回の歴史的な転換を単なる「ラッキーな値下げ」として歓迎するだけでなく、将来導入されるかもしれない走行距離課税などの新税や、インフラ政策の行方にも関心を持ち続けることが大切です。



本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。

出典
*1 TBS NEWS DIG「延長され続ける“ガソリン暫定税率” 50年の攻防 十分に理解されていない「暫定税率」「旧暫定税率」「当分の間税率」「トリガー条項」などの様々な用語」
*2 三井住友海上「ガソリン暫定税率廃止とは?想定されるメリットとリスク、今後の見通しを解説」
*3 資源エネルギー庁「ガソリンの暫定税率(当分の間税率)の廃止でガソリン代はどうなるの?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」
*4 四国銀行「2025年12月31日廃止 ガソリン税とは?暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!」
*5 FNNプライムオンライン「【速報】ガソリン暫定税率廃止法が成立 半世紀以上続いた“暫定”ついに廃止 12月31日に正式廃止」
*6 野村證券「ガソリン暫定税率廃止へ どうなる?ガソリン価格とその影響」
*7 JAF「走行距離課税とは?議論の背景やメリット・デメリットを紹介」
*8 日本経済新聞「政府・与党、自動車の走行距離課税見送りへ 26年度税制改正」

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