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今回は、東京と地方でお金事情にどの程度差があるのか、地方移住にはどのような費用が必要なのかを解説していきます。
最初に、生活にかかるお金を地域ごとに見ていきましょう。東京都のほか、移住先として注目されている4つの地域のデータを調べてみました。
総務省が実施している「家計調査」の結果(2019年調査)によると、1世帯あたりの1ヵ月の収入と支出は以下のようになっています。なお、支出の内訳には食費、交通通信費、教養娯楽費、水道光熱費、保険医療費、教育費、税・社会保険料などが含まれています。
※1「都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出」より
※2 二人以上の世帯のうち勤労者世帯
支出の内訳を細かく見てみると、教育費や食費は地方に比べて東京が高くなっています。地方に行けば収入も下がるため、たとえ物価が安くても家計に大幅な余裕が生まれるとは限らないようです。
次に、家賃の差について見ていきましょう。東京は家賃が高いというイメージがありますが、地方と比較してみるとどうでしょうか。駅から徒歩10分程度の物件について、地域ごとの平均賃料をご紹介します。
※2020年9月3日現在の平均賃料
東京と地方の家賃を比較すると、大きく差が開いていることが分かります。東京でも住むエリアによって相場は変わってきますが、やはり地方と比べると都内の家賃は高いようですね。
また、地方で暮らす場合は家を借りるのではなく購入する人も多く、市町村の空き家バンクを利用して住居をリーズナブルに入手するという選択肢もあります。
地方で暮らすと住宅にかかるコストを抑えられるというメリットがありますが、そのほかの支出で、意外にお金がかかることがあります。近所付き合いを大切にする地方ならば自治会費などもありますし、何よりも大きいのがマイカーの維持費です。
車は地方では足代わりとなる必需品。その車を維持するには、ローン、自動車税、自賠責保険、任意保険、ガソリン代、車検代などのほか、場合によっては駐車場代もかかることも予想されます。これはなかなか大きな出費と言えるでしょう。
また、水道料金もあなどることができません。住む地域ごとに異なり、農業や家庭菜園を楽しみたい!と思って水をたくさん使ってしまい、請求額を見て愕然……などということも。都市ガスが届かないエリアでは割高なプロパンガスを使用している場合もあります。インフラ関連の事前リサーチも重要です。
さらに、転居にともなうお金がかかります。車や住居の購入費のほかに、必要な家具や家電の購入費、不動産関連の手数料や火災保険料、引っ越し業者に払う作業費などでトータル100万円を超える可能性もあるでしょう。
また、中古物件などを購入する場合はリフォームが必要な場合もあります。物件によっては住宅ローンを組めない場合もあるので注意が必要です。
「お金がかからないから、すぐ地方に引っ越したい!」と考えて行動を起こす前に、実際に暮らし始めるにはどれだけお金が必要か試算しておいたほうがよいでしょう。地方で新たに仕事を始める場合は給与水準が下がることも考慮し、余裕を持ってお金の準備をすることでスムーズに移住できそうですね。
東京で暮らすのか地方で暮らすのかによって、移住後のライフプランも変化していきます。子育てのしやすさなどの理由から地方移住をするケースもありますが、地方で暮らしていく上で大切なのは収入の確保です。
東京で働くのと比較すると給料が下がる可能性が高く、子どもの教育費や老後の資金をどのように準備していくかしっかりと計画を立てる必要があります。
東京で暮らす場合と地方で暮らす場合の収支をそれぞれ整理して可視化し、毎月どの程度の金額なら無理なく貯蓄をすることができるのか考えていきましょう。
自治体によっては、若者の定住を支援するための制度が設けられていることもあります。住宅購入費用や家のリフォーム費用を一部負担してもらえるかもしれないので、地方に引っ越しを検討している人は事前に調べてみるとよいでしょう。
20代で一人暮らしであれば身軽に移住することもできるでしょう。その際には、結婚・子育てといった将来のライフコースも考慮に入れて検討したいものです。
地方移住のための情報をまとめたWebサイトや自治体ごとの移住相談イベントなどを活用し、情報収集をしてみるとよいでしょう。
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。