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新しいNISAで何が変わる?変更点やロールオーバーのルールなどを詳しく解説
新しいNISAで何が変わる?変更点やロールオーバーのルールなどを詳しく解説

新しいNISAで何が変わる?変更点やロールオーバーのルールなどを詳しく解説

2023/02/12・提供元:Money Canvas

2020年度の税制改正大綱でNISA制度の見直し・延長が決定しました。*1

2024年から新しいNISAがスタートしますが、どのような変更点があるのかご存知でしょうか。

2023年度の税制改正大綱の公表に注目が集まるなか、現時点で予定されている新しいNISA制度の内容についてポイントを押さえておきましょう。



現行NISAの仕組みをおさらいしよう

まず、現行のNISAについて、どのような制度なのか確認しましょう。

一般的に、株式や投資信託といった金融商品に投資をすると、その売却益や配当益に対して約20%の税金がかかります。*2

しかし、NISA口座で運用して得られた利益は非課税となります。

2023年まで利用できるNISA制度は「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類です。


5

引用)金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAとは」



成人が利用できる「一般NISA」と「つみたてNISA」、そして未成年が対象の「ジュニアNISA」に分かれています。

「一般NISA」と「つみたてNISA」の主な違いは、非課税保有期間の長さと年間非課税枠の大きさです。


NISA制度の何が変わる?新しいNISAの変更点を押さえよう

2024年から新しくなるNISA制度ですが、具体的にどこが変わるのでしょうか。

ここでは、押さえておきたい変更点について、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」ごとに解説します。


一般NISAは「新しいNISA」へ

金融庁はNISA特設ウェブサイトにおいて、2024年以降は「一般NISA」から「新しいNISA」に変わると公表しています。*3

主な変更点は下記の3点です。*4


  • 口座開設可能期間が「2028年まで」に変更
  • 非課税枠の構造が2階建てになる
  • 非課税期間終了後、1階部分は「つみたてNISA」へ移行可能になる

現行のNISA制度で最も変更点が多く、仕組みも複雑になるため、詳しくみていきましょう。


投資可能な期間が「2023年まで」から「2028年まで」へ

2014年に始まった一般NISAでは、投資できるのは「2023年まで」の10年でした。*5

しかし新しいNISAの開始にともない、口座を開設できる期間が5年延長され、「2028年まで」投資可能期間となります。*3

この見直しは、「より多くの人に積立・分散投資による安定的な資産形成を促したい」という政府の狙いによるものです。*1


非課税枠の構造が2階建てに、1階部分は「つみたてNISA」と同様

現行の一般NISAから大きく変更されるのが、非課税となる投資枠の構造です。

安定した資産形成が目的の「つみたてNISA」と同様の枠(年間上限20万円)と、幅広い投資商品が対象となる枠(年間上限102万円)の2階建てとなります。*3


株式や投資信託など豊富な商品に投資ができる2階部分は、現行の一般NISAに近い内容ですが、新しいNISAでは一部商品(高レバレッジ投資信託等)が対象外となっています。*1


また、2階部分を利用する場合は、原則として1階部分の積立投資をしないといけない点には注意が必要です。*3

投資経験がある人は、2階部分のみ使うこともできます。


ロールオーバーの仕組みも変更、1階部分は「つみたてNISA」に移管可能

非課税枠の構造の見直しにより、ロールオーバーの仕組みも変わります。

現行の一般NISAに投資している場合は、非課税期間が終了すると新しいNISAへ移管できます。*3


まず、2階の非課税投資枠(年間上限102万円)へ移され、超過する場合は1階の投資枠(年間上限20万円)に移管します。

その際、ロールオーバー可能な額に上限はないので、時価が非課税投資枠を超えていても移管可能です。*6

また、新しいNISA制度においては、非課税期間が終わった後、1階部分を「つみたてNISA」へロールオーバーして継続保有できます。*3


つみたてNISAの変更点

つみたてNISAで見直されたのは、口座開設が可能な期間です。*1

つみたてNISAは2018年1月にスタートした制度ですが、当初は「2037年まで」の予定でした。*4

NISA制度の改正によって、つみたてNISAの口座開設可能期間は「2042年まで」5年間延長されます。


ジュニアNISAは2023年で終了

ジュニアNISAは延長されず、新規の口座開設は2023年末で終了します。*4

2024年以降は新規の購入はできませんが、5年の非課税期間を終えた後も18歳を迎えるまでは非課税で保有可能です。*7

また、「18歳までは払出し不可」という制限がありますが、2024年以降であれば年齢問わず払出しができます。


注目される2023年度の税制改正、NISA制度は恒久化する?

ここまで新しいNISAの中身について解説しましたが、施行予定の2024年1月の前に2023年度の税制改正が控えています。*8

ここで、新たな見直しが決まる可能性もあります。

金融庁が公表している税制改正要望の内容をみてみましょう。


6

引用)金融庁「令和5年度税制改正要望について」p4



NISA制度の恒久化や年間投資枠・対象年齢の拡大など、多くの人に安定的な資産形成を目指してもらうために出された要望です。

このような要望が通れば、NISA制度はさらに利用しやすくなるでしょう。

すでにNISAを使っている人も、これから始めようと考えている人も、ぜひチェックしていただきたいトピックです。


まとめ

2024年から、NISA制度は新しく生まれ変わります。とくに「一般NISA」は、投資枠が2階建てになったり、ロールオーバーのルールが変わる予定なので、内容をしっかり理解する必要があります。

仕組みは複雑ですが、安定した資産形成を目指すためには有効な手段なので、上手く活用していきましょう。



出所)

*1,4 金融庁「令和2年度税制改正についてー税制改正大綱における主要項目ー」

*2,3,5,6,7 金融庁 NISA特設ウェブサイト

*8 金融庁「令和5年度税制改正要望について」p4

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